なぜ、知財業務の改善に取り組むのか
知財業務、すなわち事業活動を通じて生まれた特許や意匠、商標を適切に保護することは、事業に大きな影響を与えます。
たとえば商標分野では、登録可能性の調査や出願範囲の設定、特許庁における否定的な審査判断に対する意見書での反論などは、ブランド戦略に直結し、長期的には企業の成長に影響します。
わたしたちは知財分野のエキスパートとして、その重要性を認識しています。一方で、 Toreru 自身が事業会社でもあるため、日々の事業活動の中で十分な知財業務を行うことの難しさも理解しています。
このハードルを乗り換えるには、知財業務のやり方をゼロから見直し、新しい方法に変えていくことが必要です。だからわたしたちは、知財業務の改善に取り組んでいます。
具体的な取り組み
商標のツール作成と公開
商標業務を効率化するシステムを Toreru で独自開発し、お客様へのサービス提供に活用しています。
たとえば、商標業務において最も重要な商標調査には、独自の調査ツールを使っています。商標調査を一つ一つのプロセスに分解し、各プロセスで理想的な作業を漏れなく確実に、かつ効率的に行えるよう、調査ツールが弁理士を強力にサポートします。この調査ツールを使うことで、従来の1/5の時間で質の高い調査報告書を作成できるようになりました。このことが、お客様に対するコストパフォーマンスの高いサービス提供につながっています。
また、一部の独自ツールは外部に公開しています。その代表は Toreru 商標検索®︎ です。 Toreru 商標検索 を無料公開することで、従来の検索サイトに不慣れな人でもカンタン・スピーディーに商標を検索できるようになりました。AIを活用したロゴ商標の検索機能は、ロゴデザイナーの方などにも活用され、創作活動をしながらのスクリーニング調査がしやすくなったと好評をいただいています。
商標の情報共有を促進し、知見を蓄積
商標実務に関する情報や知見を社内のメンバー間で共有しやすい仕組みをつくっています。
たとえば、Slack で「#商標実務勉強部屋」というチャンネルをつくり、自分の業務を行っているときに「これみんなにも知ってもらった方が良さそうかな?」と思ったら手軽に投稿して情報共有し合っています。
また、 Notion に気になる審判決例の情報をストックし、後から検索可能にする仕組みもつくっています。
有志のメンバーにより社内勉強会も開催されています。たとえば、経験の長い弁理士が新しく入った弁理士を集めて実務ゼミを定期開催したり、事務部門で商標制度の知識を高める勉強会を実施しています。
Slack のチャンネルで商標実務の情報を手軽に共有
オンライン勉強会の様子
商標実務者向けのコミュニティ
商標実務者向けオンライン・コミュニティ「TradeMates」を主催しています。2022年7月現在、35人以上の商標実務者が参加しています。
商標実務者に特化し、かつ、しがらみのないオープンな(でもタメになる)コミュニティは意外とありませんでした。一つの組織内に留めず全体で情報や知見をシェアし合えば、実務者全体のレベルが上がり、知財業界の活性化にもつながります。
Toreru らしくテクノロジーを有効活用することで、これまでできなかった規模でシェアをし合いながらも、誰でも参加(離脱も!)しやすいコミュニティをつくることができると考えています。
取り組みによってどうなったか
質の高い知財業務ができるようになった
高度な専門的判断には、多数の検討事項を漏れなく検討し、かつ、各検討のために理想的な手順を踏むことが欠かせません。
スキルのある弁理士が独自開発のツールによるサポートを受けることで、検討漏れのようなヒューマンエラーをシステム的に防止したり、対応すべき案件の量に関わらず仕事のクオリティを保つことが楽になりました。
また、ツールがサポートしてくれる部分に向けていた注意や時間を、お客様とのコミュニケーションなどの人がやるべき仕事に注ぐことができるようになりました。
それが、質の高い知財業務をお客様に提供できることに繋がっています。
効率的で、ミスが少なく、速く業務ができるうようになった
5秒速くできるようにならないか? ミスが起こり得ない仕組みにできないか? 1件でも100件でも同じ時間で処理できる方法はないか? 各知財業務でこれまで行っていた仕事の工程一つ一つを見直し、テクノロジーを活用しながら細かな改善を積み重ねています。
その積み重ねが、知財業務全体の生産性をこれまでの10倍近く高め、品質を落とさなくてもスピーディーでリーズナブルなサービス提供ができるようになりました。
知財業界全体を巻き込んで良くしていくことができるようになった
知財業界全体を良くしていくためには、1社だけでは限界があります。
独自開発した知財ツールや情報共有の仕組みをできるだけ社外でも利用できるようにすることで、テクノロジーや新しいやり方の恩恵を、 Toreru だけでなく知財業界全体で受けることができるようになりました。
また、自社の利益だけでなく知財業界全体を良くしようとすることで、社外のみなさんの力をお借りできる機会が増え、イベントやコミュニティ運営など1社だけではできない規模の取り組みもできるようになりました。
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